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Rating:
Archive Warning:
Category:
Fandom:
Relationship:
Characters:
Language:
日本語
Stats:
Published:
2022-11-06
Words:
4,128
Chapters:
1/1
Kudos:
4
Bookmarks:
1
Hits:
124

僕と彼氏と子供達

Summary:

シングルファザーなyh×その恋人のsn
みたいな話。息子はwyとjh兄弟です。
四人で仲良く家族してたらかわいいな…という内容です!
完全フィクションなので細かいことは気にせず雰囲気で楽しんでください!

Single father yh x his boyfriend sn. yh's sons are brothers wy and jh.
It would be adorable if the four of us were a close family... that's what I'm talking about!

Work Text:

サンが駅の改札を出ると、道行く人々よりも頭ひとつ分背の高い男が柱付近に立っていて、彼はサンを見つけた瞬間笑顔を咲かせて手を振っていた。このやけにオーラのあるハンサムな男はサンと同じ歳のエース営業マンであり、また、奇妙なことにサンの彼氏でもあるのだった。

ユノとの出会いは混み合った電車の中――サンが使っていたイヤホンの有線コードがユノのジャケット釦に絡まって外れなくなり、二人で降りて一生懸命外したことがきっかけだった。
それから同じ車両で会う機会が増え、会話が増え、仲良くなり、遊びに行く間柄にまでなった。
ある日の夜、「お前のことが好きみたい」と唐突に告白された。この日は映画を見たり雰囲気のいい店で食事したりして思い返せばデートのような行動をしていたし、酒も入っていて気分が良かったし、何より静かな夜景の中で微笑むユノが絵になりすぎてサンは何も違和感なくその状況を受け入れていた。
「僕も好きだけど……」
サンがそう言うとユノはサンの手を引いて、腰に手を回して引き寄せた。
「そうじゃなくて」
急激に顔が近付いたかと思えばそのまま唇が重なり、唖然としているサンに向けてユノはどこまでも優しい目で見つめた。
「付き合いたいって意味。いい?」
半ば反射的に頷いてしまい、晴れて付き合うことになったのだった。

トントン拍子に事が進んで、サンはよく分からない間に抱かれていた。男同士だとこんなふうにするんだなんて関心する暇もないまま、気付いた時には終わっていた。眠っているユノの腕の中でサンが最初に思ったことは「なんか凄かった」と、「これは僕は女性側なのか?」……呆然とした中で漠然と絞り出した感想だった。

そういったふうに色々とハイスペックなユノが何故自分を選んだのか、サンは不思議で仕方なかった。「僕にとって性別は関係ないから」と言われても腑に落ちない。もし自分が異性であったとしても、やはり何故だろうと思うに違いないからだ。
さらに、まだ恋人になる前に彼女の有無を聞いた際、長い間居ないと答えていた。それもまた不自然である。ユノのような男を、世の女性が放っておくわけないからだ。
そのように不可解な点だらけのユノにサンは違和感を覚えていたが、後に彼の自宅に訪問してその違和感の正体が明らかとなる。

「ただいまー」
ユノが玄関の扉を開けると奥からばたばたと走ってくる足音がひとつ。
「おかえりなさい、父さん!」
十才にも満たない童子が元気いっぱいにユノの脚に抱きついて、その奥ではさらに二才ほど離れた弟がクマのぬいぐるみを抱えながら「おかえりなさい」と控えめに呟く。……違和感の正体は殆どこれだった。ユノは、二児の父なのだ。

兄のウヨンは陽気な性格をしていて、すぐにサンに懐いていた。ユノの脚に抱きついてから「サニもいらっしゃい」とハグで出迎え、サンが抱え上げると嬉しそうに笑っていた。ウヨンは高い所が好きである。
弟のジョンホは静かな方であるが静かにちょっかいを出す程にはサンに気を許しているらしかった。背中や膝を道路にされ玩具のミニカーを走らされてもサンは特に気にしない。むしろ一緒にミニカーを持って遊んだりしていた。

サンは初めてユノに子供が居ると知った時、瞬時に「別れた方がいいのでは」という選択肢が過ぎった。なんだか良くない気がしたのだ。だけどその旨を仄めかすと寂しげな顔で「でも、子供達はサンに懐いてる」と言われてしまった。サンが困惑を伝えたのはその日一日中、散々子供達と遊んで仲良くなった後の事だった。
「わかった。でも、子供達に僕達が付き合ってる事は絶対に知られちゃダメだ」
何か言いたげなユノへサンは首を振り、
「刺激が強すぎる」
と付け加えた。
「刺激って?何?どういう刺激?」
そう言いながら腰に手を回して抱き寄せるユノに対してサンは顔を避けながら「そういう所!」と返す。ユノは笑ってサンを解放し、「冗談は置いておいて」と呟く。
「今は言わないよ。でも僕はいずれ言えたらいいなって思ってる」
怪訝そうな目で見上げるサンへ、ユノはいつも通りの優しい笑顔を向けた。
「家族になるんだから」
サンは閉口した。あまりにも重大な言葉を、ちょっとコンビニ行ってくる位のノリで言っている。
じわじわ顔を赤らめるサンにユノは「照れてるの?かわいい」と顔を覗き込む。そうして目が合うとそのまま引き寄せられるようにキスをして、……サンを抱き締めて押し倒すユノはまるでご主人様に遊んで貰いたくて仕方が無い大型犬だった。

そういった経緯があり、サンはユノ家へよく招かれるようになった。恋人であることは悟られないよう気を引き締めて、子供達にとって良いお兄さんでいるために注力した。
「サナ、これ一緒に読もう!」
夕食を食べた後、ウヨンが恐竜図鑑を持ってサンの元へやって来た。受け取るとウヨンは当たり前のような顔をしてサンの胡座をかいた上に座る。
「いいね。ウヨンはどの子が好きなの?」
「こいつ!」
「アロサウルス?格好良いよね。僕も好き」
「こいつも格好良いんだ。こいつ。見てサニ」
「うわぁ、こいつは知らないや。パラサ……?」
「パラサウロロフス!」
「すごくかわいい。模様が綺麗だね。ジョンホはどの子が好き?」
「モササウルス……ヒョン、こっちのページにあります」
本を開くサンの胡座にウヨンが座り、その横からジョンホが覗く。本ひとつで盛り上がっている背中を見て、ユノは食器を洗いながらそっと胸中で独りごちた。
――やっぱり、サンはいい奴だ。
純粋で、誰にでも分け隔てなく平等に接して、いついかなる時でもうんと優しい。積極的に子供と遊んでくれて助かっているし、人懐っこいウヨンはともかく、人見知りするジョンホが懐いているのは珍しい事だった。それ程サンの人柄がいいのか、ただ単に子供っぽいだけなのか……。サンが短い悲鳴を上げていたので再度見遣ると、戯れたウヨンに腕を噛まれていた。……あれは以前、ユノがサンにしていた事だ。子は親を見て育つと言うが、真似されると良くなさそうなことは子供の前ではやめておこうと静かに感じた瞬間だった。

「じゃあ、僕は帰るね。また明日」
ウヨンとジョンホが眠りについた頃、サンは物音を立てないように気を使いながら玄関に立った。ユノも音量を抑えた声で「うん、来てくれてありがとう」と答え、サンの手を握ってじっと目を見つめた。きょとんとするサンが首を傾げると、「キスしていい?」と訊ねる。
「え!?駄目だよ、二人がいるじゃん」
「奥の部屋で寝てるよ。……少しだけ」
大きな手で手を包まれて、じっと甘えるような視線を送られるとサンの威勢がどんどん弱まってしまう。彼は押しに弱かった。
「本当に一瞬だからね」
悩んだ末にそう応え、顔を近付けた時、
「あれ……ヒョン、帰るんですか」
ユノの背後からジョンホの声が聞こえた。
「あっ!!……あっ、ユノ、目にゴミがついてたよ~!!」
「え?ああ、目が痛かったけど治ったかも。サニありがとう~」
飛び上がりそうな勢いで小芝居するサンと、落ち着きつつもそれに合わせるユノ。なんだか騒がしい大人達を尻目に、ジョンホは「気を付けて帰って下さいね」と一言添えてスリッパをぱたりぱたりと鳴らして悠々と部屋に戻っていった。
「うん、おやすみ~。いい夢を見てね」
サンは穏やかな声を投げ掛けつつ、ユノを目で牽制した。

「ウヨンイヒョン」
並べられた布団の片方に戻りつつ、ジョンホは寝ているウヨンに声を掛けた。
「んー?」
「父さんとサニヒョンって、恋人同士?」
背を向けて寝ていたウヨンは顔を動かしてジョンホの方を見る。
「うん。気付かなかったの?」
ジョンホにとってはただの疑惑でしかなかったのだが、ウヨンがあまりにあっさりと断言するので呆然とした様子で目を瞬いた。
「……知らなかった」
「僕もちゃんと話をされた訳じゃないよ。だから推測でしかないけど……見たら分かるじゃん、あんなの」
「何処で分かるんですか?そんなこと、思いもしなかった」
暫く沈黙が流れた。ウヨンは元の背を向けた姿勢に戻り、ジョンホは呆然と枕を見つめている。
「ウヨンイヒョンは……」
「うん」
「どう思いますか」
「何?サニのこと?」
「サニヒョンと父さんの……」
「僕はいいと思うよ。サニは良い奴だし、僕達を大事にしてくれてる。父さんにもよく気遣ってる」
ウヨンははきはきと答えた。彼の中では明確な信念があって、それに基づいて発言しているようだった。
「お前はどうなの」
逆に質問を返され、ジョンホはじっと考える。
「……僕は……」
少ししてから、口を開いた。
「父さんとウヨンイヒョンが、幸せになるなら僕もそれでいいです」
「はぁ?お前……」
どこかふんわりとした返答に、ウヨンがすぐさま呆れた声を出した。振り向いて睨み付ける。
「なんだよそれ。自分の意見を言えって」
「本当ですよ。僕は僕の家族が健康で幸せであること、それが一番の望みなんです。だから、父さんとウヨンイヒョンがいいなら必然的に僕もいいということになります」
先程のウヨンの発言が信念から来るものであるのなら又、このジョンホの発言も信念だった。二人の信念は共通していて、“家族の幸せが最優先”である。
ウヨンはジョンホの目をじっと見つめた後、はぁー、と大きな溜息をついた。それから、「僕も同じだ」と呟く。
「サンには沢山の愛情がある。わかるだろ?父さんにもだし、僕にも、お前にもある。僕もサニが好きだ。父さんとお前に優しいから。うまくやっていけそうな気がしてる。だから認めてる」
ジョンホは頷いて、「そうですね」と答えた。
「あ――でも、二人はバレてないと思ってるから。バレてること、気付かれないようにね」

 

巨大な水槽の中で泳ぐ巨大な鮫に、サンは一際目を輝かせた。
「わ……!鮫!すごい、あんなに大きかったっけ?映画で見たのと一緒だ!!」
ユノ親子と共に水族館に訪れたサンは、四人のうちの誰よりも一番はしゃいでいた。
「サナ、サナ、あっちにエイがいる。一緒に行こう!」
次にテンションの高いウヨンがサンの手を引っ張り、二人で騒ぎながら奥へ消えて行く。その背中を眺めているユノとジョンホは対称的に落ち着いていて、ユノはジョンホの手を握って優しく声を掛けた。
「僕達はゆっくり見ていく?」
「はい。急がなくても綺麗な魚は逃げませんから……」
ジョンホはのんびりと近くの水槽を眺め、ユノも同じように鑑賞する。魚が群れを成して泳いでいるのを双眸に映しながら、ジョンホはぽつりと呟いた。
「父さんはサニヒョンと結婚するんですか?」
「ん……――ん?今なんて?」
「いや、だから結婚………………あ」
ジョンホは口に出してから、以前聞いた兄の言葉が脳内を過ぎった。“バレてないと思ってるから、気付かれないように。”……すみませんヒョン。忘れてました。
「ジョンホは父さんに結婚して欲しいの?」
「いえ、そういう訳ではないんですが……、すみません。変なこと言いましたね」
なんとか誤魔化して再び水槽へ目をやるジョンホの隣で、ユノは穏やかな声でこう言った。
「僕が結婚する時は、ジョンホとウヨンが幸せになるって確信を得た時だよ」
ジョンホがそっと見上げると、ユノは優しい目をして泳ぐ魚を見ていた。その後、ジョンホの視線に気付いてふわりと笑う。ジョンホは少し照れくさくなって視線を外しながら手を握る力を強めることで返事した。柔らかく握り返してくれる大きな手はどこまでも安心感があった。