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Language:
English
Stats:
Published:
2026-01-27
Completed:
2026-03-08
Words:
3,556
Chapters:
2/2
Kudos:
33
Bookmarks:
3
Hits:
529

Chapter 2: 「JAPANESE」

Chapter Text

凛は、自分の感情を正しく表現する方法をずっと知らないままだった。

 それはいつも唐突に、あらゆるところから一度に押し寄せてきた。 

静かで穏やかな部屋。テレビではサッカーの試合が流れている。凛は座っているあなたの膝に頭を預けていた。

そばにいてくれることに、感謝していた。 不器用で、愛をうまく伝えられない自分を、ありのまま受け入れてくれる。 

自分でも認められないほどの罪悪感が、その事実だけで胸の奥に居座っていた。

 人生のどん底にいる時、凛は物を壊すか、あるいは完全に沈黙した。そんな姿は見せたくなかった。恥ずかしかったのかもしれない。 だから、どんなに悲しくても、助けを求めることなんてできなかった。






あなたの指先が髪を掻き乱す感触に、凛はもう試合に集中できなくなっていた。 思考がどこかへ漂っていく。どうにかして恩返しがしたかった。どれほど愛しているか、伝えたかった。

 けれど、気づけばいつも隣にいてくれる。心がぐちゃぐちゃで、自分でも自分の感情が理解できない時でさえ、 は凛を現実に繋ぎ止めてくれた。 支えてくれと頼んだことさえないのに、なぜ今も隣にいてくれるのか、凛には分からなかった。

凛はたまらず、太ももに顔を埋めた。

「ひゃっ……な、何、凛?」

 「……別に」 そっと顔を離し、凛は身体を起こした。

 不思議そうに首を傾げる に向けて、凛は唐突に問いかけた。 「……何か欲しいものはあるか」

(……直球すぎたか)とすぐに後悔した。 もっとさりげなく、言葉にせずとも大切に思っていることを伝えたかったのに。それでも、相手が何を望んでいるのか知りたい、もっと深く知りたい

「ええと……今はゆっくり休みたいかな」 ソファに深く背を預けながら、楽しそうに鼻歌が漏れた。 

(もう休んでるだろ) 凛は少しだけ唇を尖らせた。力になりたいのに、 はもう自分一人で満たされているように見えた。 

それが自分に欠けているものなのかもしれない。あなたのコップはいつもいっぱいで、士気と愛で溢れかえっている。

 対して、凛のコップは半分しか満たされていない。その半分でさえ、隣から溢れ出した愛を分けてもらったものだった。

「他には?」 凛の声は少し強くなった。まるで、自分を押し通そうとするかのように。 

「うーん……じゃあ、寝ようかな? 凛も眠い?」 穏やかで、少しだけ抑揚のない声。 

「……それだけか」 粘り強い問いかけに、ようやく意図が伝わったようだった。

「あ!」 とは言ったものの、本当に欲しいものがすぐには思い浮かばなかった。 

新しいファンデーション? チョコ? それともスペインへの航空券二枚……? 

ふと、視線が凛の唇に落ちた。 

そして、微笑む。 

「……キス、してほしいかも」

長い沈黙の後、凛が答えた。 「あ……」 

少し気まずい沈黙に、あなたの笑みが深まった。

「それだけでいいのか」

「うん—」 言いかけた唇を、凛が奪った。

不意を突かれ、クッションに手を突いてよろける。 

「ん……っ」 目を閉じ、凛の背中に掌を添えた。

 静かな部屋に、甘い水音が響く。 

緊張で思わず唇を噛んでしまい、顔に熱が昇っていくのが分かった。 

けれど、二人はそれ以上を拒まなかった。

 重なる吐息、背中に回された手、絡める足。

 心臓の鼓動がうるさいほどに響く——と思ったら、それは凛のスマホの着信音だった。

キスをしたまま、チラッとスマホの画面を見た。

「……凛。エゴさんから電話だよ」

息を切らしながら、凛の胸に手を当てて少し離れた。絡めていた足も、ゆっくり離した。

凛はポカンとしたあと、スマホを見て、すぐに電話を切った。

「ちょっと、なんで切るの? マネージャーでしょ」 

「あいつの用件なんて、今のこれより重要じゃない」 凛は面倒そうに目を逸らした。 

「キャリアに関わるよ?」

「あ、そう、だから何」

呆れて力が抜け、ソファに沈み込んだ。

すると突然、凛が抱きついてきた。

 「……今日はずいぶん甘えん坊だね」 耳元で囁き、背中をぽんぽんと叩いた。「可愛い」

凛は首筋に顔を寄せて、そっとキスをした。

その香りを吸い込みながら、凛は呟いた。

「好きだ。……すごく」

赤くなった凛の耳を見て、どう返せばいいか分からず、小さく息を吐いた。

想いを伝えられたのは、これが初めてじゃなかった。

「……うん、知ってる。私も好きだよ」

 

凛はさらに顔を埋めた。その感触も、匂いも。

 出会ってからサッカーに興味を持ってくれたところ。好きなことに真っ直ぐなところ. アパートで一緒にホラーゲームをして過ごす時間。自分の匂いに包まれてベッドで眠る姿。

 そんな、なんてことのない日常が好きだった。

 自分勝手な癖も、シャワーを浴びながら鼻歌を歌うところも。観客席から応援してくれる姿も、笑った時の唇も、細められた瞳も。 黙って塞ぎ込んでいる時に隣にいてくれるところ。泣きそうなのに、いつも悲しみを隠そうとするところ。怒っている時に怖がるんじゃなく、理解して距離を置いてくれるところ。

服の好みも、時々選んでくれるコーディネートも。一日の出来事を話す声も。自分の低い声を褒めてくれるところも。待ち合わせに遅れてボサボサの髪で来るところも、気合を入れて綺麗に着飾って来るところも。 

その全てが、愛おしかった。 きっと、これが「愛」なのだと凛は思った。

「……愛してる、あなた」 喘ぎのような、掠れた囁き。

 「私も! 愛してる!」 あまりの近さに、つい元気よく返しすぎてしまった。 

急激に顔が熱くなる。 「待って、今なんて呼んだの?」 慌てて口を覆って身を引くと、そこにはトマトのように赤くなり、愛おしそうに目を細めた凛の顔があった。

「……あー。今の、なし。やりすぎた」

 「ううん! 全然! 凛が呼んでくれるなら、なんだって嬉しいよ」

 「……そうかよ」 凛はソファの上で居心地悪そうに身を動かした。「ずっと、呼んでみたかったんだ」

幸せなホルモンに包まれたせいか、深い眠気が襲ってきた。

 感情がごちゃまぜで、眠りたいのにワクワクもしている。 

「凛、ベッドに行こ?」 

凛が頷いて、立ち上がった。

 その夜、二つのコップは、愛でひたひたに満たされていた。♡

Notes:

sorry I made this with no sleep with an exam in literally 2 hours and I couldn’t sleep so I js wrote this. 🫰 I originally planned Rin to call the reader "sweetheart" but I switched it since my friends preferred baby lol