Chapter Text
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*第一章*
世の中には揺るがない事実ってもんがある。火は燃える。月曜日は憂鬱。そして、
“アルファはオメガに求愛する”
まあ実のところ、アルファでなくてもオメガに求愛してくる。甘く漂うオメガフェロモンには誰だって抗えない。とはいっても実際問題、オメガは人口の5%しかいないものだから、ベータはこの複雑な求愛競争には勝つ見込みがない。そして社会的、政治的、肉体的にも優勢なアルファ(褒めそやされるアルファの”ノット”による、オメガの性的要求との相性の良さはさておいて)、そう、彼らは、希少で幸運なベータの勝者の腕からですら、オメガをかっさらうことでもよく知られている。
だから、シャーロックがジョンに言い寄ってこないのは、もどかしいなんてもんじゃない。
常に健康で男らしいアルファが近くにいたもんだから、ジョンは思春期以来、そんなにオメガの匂いを強く出してるわけじゃあない。でも彼はいつだって交配したいと思ってるし、子供もほしい。厳密に言えばシャーロックと一緒になりたい。
ジョンはシャーロックが自分に興味がないようなら、軍の時に使っていた、ホルモン抑制剤を再び使おうとも思っていた。でも彼は明らかにジョンと同じ気持ちなようだった。少なくとも彼はしょっちゅう、ジョンにそっと触れてきたりするし、傍でジョンの匂いを大きく吸い込んで、股間を膨らませてたりするんだから。
でも、ほんとにそれだけだった。
アルファはには普通、求愛活動を始めることをオメガに知らせる通例の儀式みたいなものがあるけれど、彼は全然そんなそぶりを見せない。豪華な服やアクセサリーをつけたりしないし(伝統的には、これはオメガを守れるだけの服や住処を賄える能力のあることを示している)、豪華な食事もなし(交配前にオメガに力をつけさせるという意味がある)。潜在的なライバル求婚者に対する少しの唸り声も上げたりしない(自分のテリトリーの主張だ)。
それにシャーロックは、ジョンが、彼が触れた時にしなだれかかったり、股間を軽くお尻で触れたりすると、いつも急に硬直したり、不自然に固くなったりする。そのあと彼はいつもより不機嫌になり、そうなると誰の手にも余るような有様だ。
オメガが先に言い寄っていくのは聞いたことがないけれど、ジョンはもう本当に途方に暮れていた。ジョンはそんなに年寄りってわけじゃないけれど、彼の繁殖能力は年とともに衰えていくし、シャーロックのペース(時速0kmだと思うけどね)にあわせていたら、221Bに彼らの子供“ワトソン・ホームズ”の可愛らしいぱたぱたした足音が響き渡る日は永遠に来ないように思う。
シャーロックの怒りっぽさを考えると、これが一番いい方法とは思えないけれど、ジョンはこれしか思いつかなかった。彼はシャーロックの嫌なことは決してさせたくない。でも、もし彼が重い腰を上げてその賢い頭を使ってジョンに求愛しないと、ジョンが誰かに持って行かれるかもしれないってことは、分からせられるだろう。
