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Archive Warning:
Category:
Fandom:
Relationship:
Characters:
Language:
日本語
Stats:
Published:
2022-11-06
Words:
2,751
Chapters:
1/1
Comments:
2
Kudos:
8
Bookmarks:
1
Hits:
129

平和にデートする一日

Summary:

yh×snが平和にデートするだけの話。
お互いがお互いを愛しくて大好きで、そばに居るだけで幸せな二人。

It's just a story about yhxsn dating peacefully.
They love each other and are happy just to be by each other's side.

Work Text:

額に柔らかな感触を覚え、サンは緩やかに目蓋を開けた。大きな窓からは朝の陽光が差し込み、部屋全体を明るく照らしている。目の前に居る大きな恋人も、まるで太陽に祝福されたかのような暖かく眩い笑顔でサンを見つめていた。
「おはよう、ねぼすけさん」
蕩けそうな優しい声色が耳をくすぐり、長い指に髪を撫でられてサンは再び目蓋を閉じた。ユノはくすくす笑って「こら、起きないと」と言いながらサンの白い頬を軽くつねる。首を振って手を伸ばすサンに応じるようにしてユノは彼を抱き起こし、再びその額へ唇をつけた。
「コーヒー飲む?シャワーする?今日は一緒にプレゼント買いに行く日だよ」
「ん……ん~……シャワー……」
まだ寝惚け眼でむにゃむにゃと答えるサンにユノは笑って頷き、その手を引っ張って立ち上がらせた後シャワーへと促した。
今月はユノとサンが所属する会社の社員が誕生日を迎える日があるので、彼に渡すプレゼントを一緒に買いに行く約束をしていたのだ。サンがシャワーを浴びている間ユノは一足先に支度をし、遅れてサンもそれに続く。結局帽子とマスクと眼鏡で隠れてしまうので時間のかかるスタイリングは要らないものの、それなりにだらしなく見えないように気を配った。楽に着られる大きめのニットにジーンズを合わせ、黒のバケットハットを被ったユノがサンの方を見ると、同じような服装をしたサンが黒のニット帽を調整している所だった。身に付けているものは有名なブランドのものなのに、オフの日の彼はなんだか純朴な子供のように見える。短く切った黒髪がニット帽からはみ出ているのが可愛らしい。マスクで鼻まで覆ってしまっているためサンの顔は目元しか見えないが、ユノの視線に気付いたサンは甘い笑顔を向けた。目元だけでも可愛らしくて、ユノは笑いながらサンの頭を撫でた。

カフェでコーヒーを注文し、ブランドショップが立ち並ぶ道を二人で歩いた。街路樹が黄色く染まり時折はらはらと落ちてくる枯葉を見て、サンが「浪漫だ」と呟く。「綺麗だね」と言うと「僕はユノが綺麗だと思う」と斜め上の返事が返ってくるので、ユノは笑って流した。サンはこれが通常運転なのだ。
徐にスマホのカメラを向けてみると反射的にピースをするので、二人で何枚か撮った。後でSNSに上げてみようとか、これは秘密にしておこうとか、そういった話をしながら漸くプレゼント選びに入る。何軒かの店舗をまわり沢山の商品を見て、誕生日の彼は何を贈れば喜ぶのか二人で話し合って、選び抜いたプレゼントをそれぞれ購入した。
店を出てサンが空を見上げると清々しい秋晴れで、このまま車に戻るのが勿体ない気がした。「天気がいいから外でご飯食べようよ」と提案するとユノも「いいね」と乗ってくれるので、パン屋でサンドイッチセットをテイクアウトして近くの公園で食べることにした。
緑豊かな公園内では犬の散歩をしている人や親子連れが楽しげに歩いていて、適度な気温の風が木々を揺らして人々の談笑の声が心地よいBGMとなっていた。
「すごく幸せだ」
唐突にサンが発言した。ユノの食べるスピードは早く、サンのサンドイッチはまだ半分も減っていないのにユノの手にあるサンドイッチはもう殆ど無い。
「どうしたの?」
「だって今日はすごい日だよ、こんなにいい天気で、街は平和で、ご飯は美味しくて、いつもお世話になってる大好きな人をお祝いするためのプレゼントを用意できて……」
とめどなく言葉を並べるサンが一旦止まって、ちらりとユノを見上げた。
「大好きなユノが僕の隣に居る」
サンは本当に幸せそうに微笑んで、改めて小さな口でサンドイッチを頬張った。これはサンの通常運転で間違いないのだが、ユノは不覚にも胸の奥がじんわりと暖かくなるのを感じていた。基本的にユノはなんでもポジティブに変えてしまう男だが、サンと居るとさらに幸福が倍増するような――昨日と変わらない今日でも、世界が色鮮やかに染まって心が満たされる心地がする。それを恋というのだと誰かが言っていた。ソンファ兄さんかな。長男ぶってそんな事を言っていたけど、あながち間違いではないと思う。
愛しさが全身を駆け巡り、キスして抱き締めたい衝動に駆られたが、外でそんな事はできないため口を引き結んで行き場のない拳を小さく振ることで衝動を抑えた。代わりに「サンは本当に可愛いね」と伝えると「ユノの方が可愛いよ」と返ってくる。可愛さで言うとサンには負けると思うけど……。そんなふうに思っていると不意にサンの手が伸びてきて、ユノの口元を優しく拭った。
「ほら可愛い。そうでしょ?僕のわんちゃん」
サンはこの世にある全ての褒め言葉をユノに与えてくる。そこに抱えきれない愛情を乗せて。

その後も街を歩いてみたり、ネットカフェでゲームを嗜んだりしている内に夜になり、食事をして宿舎に帰宅した。シャワーを終えて雑な姿になってもサンはユノを見ると「かっこいい」と褒めてくる。本当にサンの目にそのように映っているのだとしたら、彼はユノをとてつもなく好きなのだろう。ユノがサンの頭を軽く撫でた後ラグの上に座ってスマホを確認していると、サンが猫のように足の間に入って座ってくるので、ユノは自然と受け入れ座りやすいように体勢を整えた。
サンはユノの両腕の間に頭を入れて一緒にスマホを見たり、自分のスマホを見たり、ユノの服を引っ張って遊んでみたり、ユノの胸へ背を預けながら様々な過ごし方をしていたが、ふとユノが気付くとサンはすっかり両瞼を閉じて夢の世界に旅立っていた。
「サン?寝た?」
静かな声で窺ってみても閉じられた両瞼はそのままで、薄い唇からは寝息が漏れている。眠っていると分かった途端、ユノの身体に身体を預けたサンの体温や体重が肌で感じられて、サンの存在を証明するそれらの感覚はユノの心を締め付けた。なんだかとても大切な宝物が手の中にあるような、そんな気持ちだった。
「サン、ベッド行かなきゃ」
愛でるように優しく顎を撫でると、殆ど眠っている薄い目が微かに開いてはまた閉じる。「ううん……眠いよ」と寝言を呟くので、その小さな唇を唇で塞いだ。柔らかな唇を優しく食んで戯れているとそこから漏れる吐息が色付いてきて、……細く開いたサンの瞳に溶ける扇情的な熱を垣間見て、湿度の高いそれらの視線が交わった時、ユノは雪崩るようにしてサンに覆い被さった。

ユノはベッドに横たわりながら、腕の中にいるサンの滑らかな黒髪を撫でた。体温の高いサンの身体は密着しているだけでこちらまでぽかぽかしてきてよく眠れそうな気がする。まるで子供のような無垢な寝顔を眺めながら、ユノはふと昼間の出来事を思い出した。
“今日が幸せだ”と話していたサン。確かに――今日は一日とても平和だったし、穏やかで優しい時間が流れていた。サンが言うことは最もである。だけど、それに付け加えるなら……今ここで最も愛しい存在がそばにいて、共に生きていられることこそ最大の幸福なのではないだろうか。そばにいるだけで満たされる存在がそこに居てくれることこそ、途轍も無い幸福な奇跡であると考えられて――
ユノは幸運だとか強運だとか、そのような言葉をよく掛けられるが、自分は間違いなく幸福な男だと思った。腕の中に居る確かな奇跡を大切に抱きながら。