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Rating:
Archive Warning:
Category:
Fandoms:
Relationships:
Characters:
Additional Tags:
Language:
日本語
Stats:
Published:
2023-05-17
Words:
1,792
Chapters:
1/1
Kudos:
10
Hits:
296

永遠なのはそんな瞬間

Summary:

Story of after ESC grand final night.

I'm Japanese fan since Eurovision2023.
The text is written in Japanese. But I think machine translation makes sense.
I'm still studying the band's background and relationships...So most of what I write is based on my imagination. Please forgive any mistakes.

Notes:

(See the end of the work for notes.)

Work Text:

 ホテルの近くにあるレストランが、関係者のために貸し切られている。 といってもさほど厳重なものではないので、知ってる顔も知らない顔も入り乱れているのがわかる。ステージの上にいた人も観客席にいた人も関係なく、みんながこの偉大な夜の余韻を楽しんでいるのだった。こういう場所が今夜のリバプールにはいくつもあるんだろう。
 クリスはざわめくフロアをかき分けて、ある人を探していた。
 こういうときに真っ先に消えていなくなるのはもうひとりのギターであるヤンの得意技なんだけど、今探しているのは彼じゃない。
 半分くらい中身の残ったビアグラスを片手に、クリスがやっと目当ての人を見つけたのは人のいない廊下の奥だった。
 長身のシルエットは、夜の光を背負っている。
 ナツェ。うちのバンドのベース。加入したのは一番最後で、一番の感動屋だ。
 彼のかたちに切り取られた窓の向こうには街のあかりと、それからかすかな星。このまま夜も更けて、きっと騒いでいる間に朝になるんだろう。
 星が消えるまで踊り明かそう、って、まさにボヤンが書いた歌詞の通りだなと思う。
 ああ、きっとそれは今日のことだったんだ。
 おれたちの名前はあのマイクのかたちをしたトロフィーには刻まれなかったけど、それだけが唯一の仕事ではないんだ。
 負け惜しみかなあ。強がりかなあ。でもそうだと信じたい。
 ボヤンが一目惚れみたいに仲良くなったいかしたフィンランド人の彼をみんなで抱きしめたときの、あのあたたかい気持ちとか周りからの優しい拍手。あれは嘘や虚構、シナリオなんかじゃもちろんなくて、それこそがただ輝く真実なんだってこと。
「ナーツェ」
 間延びした声で小さく呼ぶと、彼は顔を上げた。張り出した窓のサッシに腰を下ろして、手には水の入ったペットボトル。よく見る光景だった。
「絵になるね色男。一人で考えごと中?」
「褒めてもなにも出ないぞ酔っ払い。うわ、酒くさ」
 クリスは自分の顔を見て苦笑いをするナツェの隣へ、隙間をこじあけるみたいにして腰掛ける。
「そりゃ、ねえ、こんな日だし!」
 興奮と、アルコールとで頭がふわふわする。身長はクリスのほうが大きいけど、ガタイでいうとナツェの勝ちだ。だから簡単には倒れないとわかっているから、ぐっと体重をかけて体をくっつける。ブン、と夜の底を浚うような力強いベースの音が、骨の中をつたって透ける気がした。体中を巡る血液と同じに、音楽はずっと鳴っている。弾いていなくたって、わかる。わかるようになった。もう伝わる。とっくに、そうなっている。
「重い重い」
「あはは」
 ナツェがおどけて押し返してくるのに、クリスは笑う。その顔を見る。とても近い距離で、視線が合った。
「…………」
「……何?」
 穏やかな瞳。静かな湖面のようなペールブルー。その縁が、わずかに濡れている。
「目が赤い。また泣いた?」
 クリスがからかうと、けれどナツェはあまり嫌がらずに素直に頷いてみせる。
「…あれ。聞こえてきたからさ」
「ああ…」
 クリスは得心し、そうして、二人はそっと耳をすます。
 遠くのほうで、我らがボーカル様がアコースティックギターであの曲を弾いているのが聞こえる。Carpe diem。その日を掴め。繰り返されてきた警句を冠したおれたちの曲。騒ぎすぎてかすれた声が、おれたちが過ごした、そしてこれから過ごす人生を歌う。星の瞬きを歌う。
 フロントマンを担った彼が、今もまだ喧騒の真ん中で歌っている。バンドの顔であれと望まれた彼の負ったものを思い、そしてそのためになくしたものがあるのだろうかと想像する。いつか、ステージの上で涙を見せまいとしていたことを、たぶんずっと覚えている。あるいはそれが、今回の旅で癒されることがあったのかもしれない、とも。
 ナツェとくっつけあった体が暖かい。一瞬押し黙ったナツェはペットボトルの中身を一気に煽り、空にする。そして短く息を吐いてからクリスに向き直った。
「こんな日が来るなんて、こんな人生があるなんて思ってなかった」
「えー? 大げさだなぁ」
「真面目に言ってる」
「……ここまでの旅は楽しめた?」
 クリスはふと、メンバーの交代で口さがない周囲がどういう物言いをしていたのかを思い出そうとして、やめた。そういう怖さはずっとあった。果たして後悔をしていないだろうか、とか。どういう気持ちでここにいてくれるんだろう。聞いたことはないし、聞くつもりもないんだけど。だから聞きかたを失敗したと思って、慌てて首を振る。
「いや、ごめん別に深い意味は」
「楽しいよ、とても。それに嬉しい」
 だけど、ナツェは即答した。過去形でなく、まっすぐに。
 それで。
「……みんなのおかげだと思ってる。感謝してる。受け入れてくれて…いて、っ! なんで叩くんだ」
「この期に及んで他人行儀だよ! もうとっくに家族だと思ってるんだけど!」
 虚をつかれたように黙ったナツェは、顔をくしゃくしゃにしてクリスを抱きしめた。

Notes:

ここにたどり着いた日本語を解する同志のかた。ぜひ握手を。
決勝前に決めたほぼ顔カプなんだけど掘れば掘るほど関係性が浮かび上がってきて沼。
もっと知りたい…。
カタカナ表記はフォロワーさんのご協力を(勝手に)得て決定しました。