Work Text:
「ねえ、安吾、織田作。しらないところでこんな長い時間知り合った、考えたことがある?僕たちのなかで、誰が一番強い異能力を持っているの?」
ある夜に、太宰が急にこう聞いた。
安吾が考えずに応えた。
「これ、全く比べることはできないだろう!だって、僕たちの異能力は全部攻撃性がないし。そういえば、なぜ異能力の強さを比べようと思うんだよ!子供かい?君?」
「ふふふ、遠い昔に、ある知者がこう言った:たとえいい友達でも、原因不明な勝負欲が現れるかも。この点なら大人も子供も関係ないだよ!」太宰が笑いながら言った。
「最強の異能力なのかー、じゃやはり安吾と太宰の異能力だろう。私なら五秒と六秒の未来だけが予知できる。普通の状況なら、知っていてももうやれることもないんだ。」
織田作が真面目に考えた。
安吾は太宰との喧嘩を止めて、織田作に向かって言った。
「織田作さん!まさか本当に答えた!あなたはあまりにも太宰くんのことを甘やかし過ぎるんだ!たまにはなんか来由不明な勝負欲を叱るべきだ!」
そして、坂口安吾は少し考えた後で言った。
「それに、もし本当に比べたら、最も強いのはやはり織田作さんだろ?だって、僕と太宰君二人一緒に挑戦しても、織田作さんの片手でも勝てないだ!きっと!」
太宰は少々驚いた顔をして見渡し、笑った。
「さっきまで織田作を叱るのに、けっきょく転じて僕の問に乗って答えたじゃない?安吾?」
安吾はやっと、いつの間にか太宰の問に乗って答えたことに気づき、また太宰と言い争い始めた。二人が喧嘩していた間に、織田作は一口酒を啜み、静かに反論した。
「安吾、太宰が言うのは異能の強さであって、俺たち個人の強さではない。」
「そうそう!」
安吾が「正義の制裁」をやるさい、太宰はこっそり顔を出して補足した。
「安吾は話題から外したぞ、10点減点!異能の強さを比べるなら、個人の武力や頭脳は除外して、単純に異能の特性だけを比べなければならない!」
「そうすると……」安吾は太宰のロジクールに沿って考え始めた。
「どんな異能でも、太宰くんの『人間失格』に触れたら無効化されてしまう。例外はない。」
「そうそうそう!」
安吾がついに自分の思う通りのセリフを言ってくれたのを聞いて、太宰は喜んだ。
「だから『人間失格』が最強の異能なのだ!」
「君は自分の異能が最強だと僕たちを認めさせるために、この話題を始めたんだろ!」安吾はやっと気づいた。
「だが、太宰の異能はある意味で確かに最強だろう?」
織田作は判断した。
「確かに……」
安吾は納得したが、「でもどうしても微妙にくやしいだ。誰かに誘導されてこの結論を認めているような気がする。」
「くやしいなら、安吾は織田作とどっちの異能が強いか比べてみないか?一位の席はないけれど、二番はあるじゃない?」
太宰は意気込んで言った。「僕が裁判の役がたてるよ!」
「わたしと織田作さん……どっちの異能が強いのか?」
安吾はそばで酒を飲んでいる織田作と目が合い、言った。
「これは本当に判断が難しい。僕たちどちらも攻撃的な異能がないし、つまり殴り合っては判断できない。何より、僕は織田作さんと殴り合いたくない。」
「安吾の言う通りだ。」
織田作は同意した。
「太宰、俺は降参して、安吾を二番にしてもらおう。」
「ほら、織田作さんも同意しているから、これでいいだろ、太宰君?」安吾は振り返って太宰を見たが、突然上がった声量に少し驚いた。
「だめだ!そんなの何の勝負だ!譲ってもらって二番になったら、安吾は寝ても夢の中から驚いて起き上がるぞ?全力を尽くさないで得た勝利や、相手に真剣に対峙してもらえないことへの不服……青春時代にして、情熱と競技精神を捨てるな!安吾!」
太宰はいつの間にか腕の包帯を手に巻きつけ、その手を目の前でゆっくり握りしめた。
「どうして急に中二の運動アニメの現場になっているんだよ?!いつも僕たちの中で一番陰気なやつは君のはずだろ?織田作さん、君も太宰に言ってくれよ! こいつは一番になったのにまだ飽き足らないんだ!」
安吾は困ったように振り返って織田作を見た。すると、織田作は思索しているような表情をしてから、真面目に答えた。
「太宰の言う通りだ、さぼって勝負を済ませてはいけないだろう、安吾。」
「織田作さん!」
織田作からほしい回答が得られなかった安吾は、二人からの「プッシュ」を受けて、しかたなく真剣な異能の較量を始めざるを得なかった。「天衣無縫」と「堕落論」、一体どちらの異能が強いのだろう?ところで、なぜ情報を読み取る異能を持つ文職員の自分が、いま人と異能を比べなければならないのだよ!
「織田作さん、すまない!」
安吾は厳しい眼差しを見せ、口を開けて何か言おうようだ。織田作の目が少し動き、いつも平静だった顔に、なんとか驚きの色が浮かび上がった。
織田作は稲妻のように前に進んで、安吾の口を手で覆った。
「太宰、試合はこれで終わりにしよう。」
織田作は額についた汗を拭いて言った。
「安吾の『堕落論』は確かに『天衣無縫』より強い。」
そばの太宰はまばたきをし、全てを掌握しているような表情の安吾を見たり、まだ汗をかいている織田作を見たりして、不満そうに二人の間に流れる暗黙の了解を見つめた。
「あああああああ!君たち!何か僕に隠して内緒話をしているんだろ?なんか孤立されているような気がする!もう『人間失格』はいやよ!僕も織田作の『天衣無縫』が欲しい!」
