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Archive Warning:
Category:
Fandom:
Relationship:
Characters:
Language:
日本語
Stats:
Published:
2026-03-11
Words:
1,999
Chapters:
1/1
Comments:
3
Kudos:
1
Hits:
27

無表情

Summary:

idea after train scene in 3.0+1.0

Notes:

(See the end of the work for notes.)

Work Text:

アスカが立ち上がった。そしてレイがこちらに歩いてくる

「誰だった?」

「友達。昔から—」

「知らない。知りたくないわよ。」

「そうか。」

レイはその場に立ったまま、渚が遠ざかっていく背中を見ていた。それからアスカの方へ視線を向ける。

「アスカ。」

いつもの抑揚のない声。

「…っ、何?」

アスカはまだワンダースワンの画面から目を離さない。

「…怒ってるの?」

「ちっ、別に。行くわよ。」

レイは少しだけアスカを見つめてから、一歩近づいた。アスカも何も言わず、レイに手を取らせる。

「…今、どこに行くの?」 指を絡めながら、レイが静かに尋ねる。

「家に帰る。」

アスカは横目でレイを見た。

「何その顔。キモイ。」

レイは首をかしげた。

「…顔?」

「別に。」

二人は並んで歩き、やがて住んでいるアパートに着いた。階段を上っている途中、レイが鞄を落とした。

「はぁ…」

アスカは小さく鼻で笑う。レイは慌ててしゃがみ込み、鞄を拾うと、そのままアスカの後を追った。先に階段を上りきったアスカは、ポケットから鍵束を取り出す。いくつかある鍵の中から一つを選び、ドアの鍵穴に差し込んだ。カチ、と小さな音。鍵を回し、ドアを押し開ける。

「ただいま…」

アスカは先に部屋へ入った。

アスカは靴を脱ぐと、そのままリビングのソファに倒れ込んだ。ぐったりと背もたれに体を預ける。
今日は一日中外にいたのだ。さすがに疲れていた。

「おい、レイ。こっちきて。」

ワンダースワンの電源を入れながら声をかける。

少しして、隣のクッションが沈んだ。レイが静かに腰を下ろす。
アスカは片腕を伸ばし、その肩に軽く回した。

「さっきの男って…」

画面から目を離さないまま、ぼそりとつぶやく。

「誰?」

(ドン)

「渚カヲル君。私の友達。」

「もう言ったわよ。どんな友達。」

「家族ぐるみ。」

「アンタだって、家族がいる?」

「はい。」

レイは少し身を乗り出し、アスカのワンダースワンをのぞき込む。

「何するの?」

「ゲームだって、してるだけわよ。」

「そうか。」

「っ…ん」

気づけば、アスカはそのままレイの肩にもたれかかっていた。レイは視線を落とす。

「何してるの?」

さっきより少し不思議そうな声。

「動かないで。」
アスカは相変わらず画面を見つめたままだ。
「楽だから…動かないでよ。」

「そうか。」

レイは本当に、ぴたりと動かなくなった。

少しして、膝の上を見る。それからまた、アスカのゲーム画面へ視線を戻す。

「楽しい?」

「…まあ。でしょ。」

「そうか。」

ぴくり、とアスカのこめかみが動いた。

「アンタさ、『そうか』ばかりだって—」

突然体を起こし、レイの方を向く。

「イライラするわよ!」

ふん、と顔を背けた。(ふん!😡)

「何見てんのよ…」

「怒ってるの?」

「うっさい。」

その瞬間。レイが床を指さした。

「死んだ。」

「あ。」

ワンダースワンがソファから落ちていた。

「分かったわよ。」

ため息をつく。そのままレイをぐいっと引き寄せた。

「…アスカ?」

「っ…冷たいから。うるさい。」

「あったかいけど。」

「もううるさいわよ!だって—」

アスカは途中で言葉を止める。

「何?」

「別に。キスしてこい。」

「なぜなの?」

「したいから言ってるんじゃん!もう、いいわよ!」

(ちゅ~)

苛立ったように言いながら、結局アスカの方から距離を詰めた。唇が触れる。

柔らかい。
いつも通りだ。

少しして、アスカは顔を離した。

ふと、レイの顔を見つめる。

夕日がブラインドの隙間から差し込み、その横顔を淡く照らしていた。いつの間にか窓が少し開いている。夜の風が、静かに部屋へ流れ込んでいた。

「その顔って…」
アスカは小さくつぶやく。

「可愛すぎ。」

珍しく、本気だった。

白い肌。赤い瞳。いつもの無表情の奥にある、どこか無垢な表情。

アスカは指を伸ばし、レイの髪に触れる。短い髪が指の間をすり抜けた。

それでもレイは、相変わらずの無表情。アスカは思わず鼻で笑う。

「で、何その顔?」

「何?」

「ちょっ、ちょっと、無反応じゃない?」

「あぁ。」

「えぇ?何よそれ、冷たすぎでしょ?」

「はい。」

「まぁ...いいわよ。ちょっと面白いから。可愛いよ。」

「可愛い?」

「ちっ。もちろん。」

アスカはレイの額を軽く弾いた。

「でも嫌じゃなかった。キス。」

レイは小さく顔をしかめ、額をさわる。

「好き?」

どこか子供みたいな声だった。

「当然よ。レイのキス、嫌なわけないでしょ。」

「そうか。もっとキスしていい?」

「ちっ。レイって、甘えん坊ね…なのに全然顔に出さないのね。」

「わからない。」

「っ、そんなわけないわよ。」

アスカは立ち上がり、そのままレイの手を引く。

「ほら、そろそろ夕食でしょ。」

「うん。」

「可愛い。超可愛いよ、アンタ。この表情、あたしだけ見てんじゃん。」

レイは少し考えてから言った。

「おなかすいた。」

「わかった、わかった。アンタって、ほんと甘えん坊ね。」

アスカはキッチンへ向かう。
冷蔵庫から残り物の弁当を取り出し、電子レンジへ放り込んだ。

その横で、レイはすでに包丁を手にしている。

「まって。まだそんなことするの?もう遅いでしょ。」

レイは壁の時計を見る。

「遅い…」

(ドン)

「はい、はい。わかったわよ。ほら。」

レンジが鳴る。

アスカは弁当を取り出し、テーブルへ置いた。

「いっぱい食べなさいわよ。」

レイは素直に椅子へ座る。

アスカももう一つ弁当を取ろうとしたとき、
冷蔵庫の上段にあるものが目に入った。

サラダだ。

少し考えてから、それを取り出す。そしてレイの前に置いた。

「ベジタリアンでしょ?アンタ、草でも食べとけよ。」

「雑草?」

「冗談よ。」

アスカは肩をすくめる。

「アンタ、ほんとわかんないわね?」

「わからない。」

(ちっ)

アスカは小さく笑い、もう一つの弁当を持って席に座った。

窓の外を見る。

もう夜だった。空には星がいくつか散っている。

「ねえアンタ。」

「何」

「このあと、早く寝ようよ。」

「うん。寝よう。」

「アンタって、ほんと何もわかってないよね。その顔、無表情すぎじゃん。」

レイは少しだけ首を傾げた。

「そうか。」

サラダを一口食べる。

アスカはまた、ぼんやりとレイを見つめる。

そして、ぽつりとつぶやいた。

「可愛い。」

Notes:

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27511530